azumur

2017.07.11
テキスト:柊明音

単純な生き物

 私は自分のことを酷く単純な生き物だと解釈している。その単純さは強みであり、弱みでもある。些細なことを重要なことのように扱うところがあり、どれほど馬鹿げたことでも喜んだり、悲しんだりする。人によってはそれは「天真爛漫」「純粋」と評することもあるのだが、そんな自分自身を高尚な存在として扱いたいとは思わない。

 時刻は二十二時。衝動に駆られるかのように自転車を走らせて家を出た。夜に犬を散歩する女性と出会す。トイプードルが私に嬉しそうに、あるいは心配して慰めるかのように近づいてきた。信号機が青へ変わる。横断歩道を渡る前、近寄ってきたその子に向けて小さく手を振った。すると女性が「ほら、バイバイだって」とその子に言ったのち一緒に別れを告げられた。

 こんな些細な出来事だけで今日抱いたモヤモヤをすべて忘れてしまうほどに、私は思わず嬉しくなってしまった。一日の終わりをこんな気持ちで迎えられたことに、ただただ「ありがとう」と感謝を表したい。私のようなひとに対して何の偏見も持たずに接してくれたことが、まるで自分の存在を肯定してくれたかのような気持ちを抱かせてくれるのだ。

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