azumur

2018.02.10
テキスト:柊明音

泣いている、鳴いている

言葉を発することが好きだ

この場においては
言葉を書くと表した方が適切かもしれない

言葉を発する、文章を書く
この二つは対比させられがちだけど
文章にしろ詩にしろ何にしろ
自分の頭や心から溢れるものを
こうして文字や言葉に表す行為自体が好きだ

もちろん読むことだって好き
それも読書が好きというよりは
おそらく活字そのものに魅了されている

ツィッターに散らばるような
百四十字以内という短い言葉に触れるのも
雑誌のインタビューを読むのも
それをしていると妙に落ち着くからだ

仮にどれだけくだらないことであっても
不快な気持ちにならない限りは
ついつい読んでしまっている自分がいる

まるで永遠に読んでいられるほどなので
今日みたいに何もする気が起きない日は
延々とネットサーフィンを繰り返しながら
著名人や知人や知らない誰かの紡いだ言葉を
ずっとずっと追いかけてしまう

それは一時の落ち着きを与えてはくれるけど
まやかしや麻薬のようなものであって
納得や実感などの感情はない

そこに在る言葉たちが悪いわけではなく
すべては愚か者で怠け者な自分に非がある

自ら望んで行うのと
逃げるように行うのとでは
全く意味が違う

私は日記を書きたかった
今これを書き出すまでに
朝から晩までかかってしまった

朝早く起きて
珈琲を丁寧に淹れて一服し
モニターの前に座る
そのままいたずらに時間だけが過ぎ去っていき
気分を改めようとシャワーを浴びても
ご飯を食べても軽い運動をしても何をしても
どうしても書くことができなかった

私は言葉をどこかに
置いてきてしまったのだろうか?

なんだか泣きそうになるけど
涙すら枯れてしまった
心の奥底ではワアーッと
泣いている、鳴いている

家のベランダから夕暮れを見ていて
「綺麗だなあ」と思った
同時に自分に対して
「汚いなあ」と思った

「汚い」
「醜い」
「弱い」
「情けない」

そのような言葉ばかりが
私の中を占めている

もちろん誰かに対してではなく
自分で自分にぶつけている

事実なのだから仕方ない

それでも なんとか
こうして ようやく
日記を書くことができた
言葉にすることができた

この小さな一歩は
私にとって大きな一歩

何度も何度も何度も何度も
同じことを繰り返してきたけど

手を動かし続けなければ
自問自答し続けなければ

見えなかった世界

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