azumur

2018.08.23
テキスト:柊明音

光のパイプオルガン

 台風二十号が迫っている八月二十三日。渋谷から高速に乗る。いつもと変わらない仕事帰りの夕方。

 台風が迫っているのもあって、おおきな雲があちこちに散らばっている。ぼんやりと遠くに目を向けると、雲のあいだから光がもれていた。

 あまりにも美しくて、涙がこぼれそうになった。

 これまでに何度も見かけたであろうこの空について調べてみた。雲間から光がもれ、太陽光線の柱が地上へ降り注いで見える現象のことを巷では「天使のはしご」「薄明光線」「レンブラント光線」というように呼ばれていることを知る。

 その美しさに宮沢賢治は「光のパイプオルガン」と表現したそうな。さすが文豪。なんて美しい表現なのだろう。

 検索したとき「天使のはしご」が最初にヒットして目を奪われたのだが、「光のパイプオルガン」という言葉には思わず心を奪われた。

 今日あった出来事をすぐさまグーグルの検索窓に入力し、そのことについて理解と感動を深めつつ世界が広がっていく感覚。こういう出会いがあるからインターネットは素敵なんだと思う。インターネット上に眠る宝石箱を、私はいつだって探し求めているのだろう。

 それにしても今日の空は美しかった。空の美しさや尊さに気づくことができる時点で、私は幸せなのかもしれない。

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