azumur

2018.09.08
テキスト:柊明音

崩壊した日常

 私の日常は崩壊している。他の人にはわからない。なぜなら私がそれを隠しているからだ。

 汚れた自分をわざわざ他人に見せる必要もないし、見せたいとも思わない。いつだって「大丈夫」な自分だけを外の世界に出し、時には無理やりにでも演じている。人生とは演技なのかもしれない。

 いろんなことを分かち合ってきた友人たちは私を残して遠くにいってしまったし、この先また出会えるとも思っていない。十二歳までは遡らないけど、スタンド・バイ・ミーのように、相手の肩に心を預けられる友達はもうできないであろう。

 どうしてこうなってしまったのだろうか? 十年前の私には想像もつかなかった道を私は歩んでいる。否、五年前どころか一年前ですら、今の私が存在していることなんて思いもしなかった。

 一年前の私はとにかく希望や自信にあふれていた。時々闇に飲まれそうになることはあっても、今と比べたら微々たるものだった。当時の友人や恋人、知人や同僚たちが今の私を見たら、とても信じられないほどに私は弱い人間となってしまった。

 弱い人間という表現も適切ではない。まるで化け物、あるいは亡霊そのものだ。生きているのか死んでいるのかもわからない、ただ息を繰り返しているだけの物体。それが私による私自身への評価だ。

 鏡にうつった自分を見つめる。まるで別人だ。あまりにも長く見つめていると吐き気が生じてしまうので思わず目を逸らす。

 どうしてここまで壊れてしまったのか? あちこちに要因はあるんだろうけど、最も大きな要因が何かは把握している。それはもう二度と手に入らないものだし、そもそもまったく同じものなんてこの世界には存在しない。過去に執着したところで前に進めやしないし、ジタバタしたところで明日は容赦なくやってくる。

 私は新たな人生を設計しなければならない。長い年月をかけて築き上げた、完璧とすら思えた土台をいとも簡単に壊される恐怖の味を、私は嫌々舐めさせられて覚えたはず。私は新たな人生を設計しなければならない。心が完全に崩壊するまえに……。 

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